保有比率が「保有株数÷発行済株式数」と合わない理由:潜在株式の数え方

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大量保有報告書に書かれた保有株数を発行済株式数で割っても、報告書の保有比率と合わないことがあります。当サイトの集計では、保有株数と発行済株式数の両方が取れた報告書のうち1,669件で、単純な割り算と報告された比率の差が1ポイントを超えていました。計算の誤りではなく、潜在株式の数え方によるものです。

保有割合の計算方法

大量保有報告書の保有割合は、分子に「保有している株式の数に、新株予約権や転換社債などを行使・転換したときに取得できる株式の数(潜在株式)を足したもの」、分母に「発行済株式総数に、その提出者が持つ潜在株式の数を足したもの」を使って計算します。

まだ株式になっていない権利も、行使すれば議決権につながるため、保有として数えるという考え方です。その結果、潜在株式を多く持つ提出者ほど、単純な割り算との差が大きくなります。

例1:保有株数が発行済株式数を上回る(海帆)

Evo Fundが2026年3月に提出した海帆の大量保有報告書では、保有株数が57,019,300株と記載され、発行済株式数の56,915,783株を上回っていました。保有比率は33.36%です。

実際に持っている株が発行済株式より多いことはありえないので、この株数の大部分は新株予約権などの潜在株式だと分かります。報告書の取得資金が3,762万円にとどまっていることも、株を市場で買ったのではなく、新株を受け取る権利を引き受けたことと整合します。この33.36%は「すべての権利を行使した場合の比率」で、Evo Fundが今この比率の議決権を持っているわけではありません。

例2:銀行による支援と優先株(ユー・エム・シー・エレクトロニクス)

みずほ銀行などが2026年5月に提出したユー・エム・シー・エレクトロニクスの報告書では、保有比率44.98%に対して、保有株数は発行済株式数の約8割にあたる数が記載されていました。保有目的は「発行会社の要請に応え、かつ発行会社との取引関係の強化を図るもの」です。

計算上は、みずほ側の保有の多くが普通株式ではなく、転換すると普通株式になる証券であれば、この2つの数字は両立します。会社の要請を受けて銀行が大きな比率を持つケースは、優先株などを使った資本支援であることが多く、詳細は会社側の開示で確認できます。

読み方のポイント

保有比率が大きいのに取得資金がごく小さい、あるいは保有株数と発行済株式数の関係が不自然だと感じたら、報告書本体の「保有潜在株式の数」の欄を確認します。ここに大きな数字があれば、その比率は権利をすべて行使した場合の数字です。

潜在株式を多く含む保有は、行使や転換が進むにつれて発行済株式数そのものが増え、他の株主の比率が下がる(希薄化する)ことにもつながります。新株予約権を引き受けたファンドの報告が出た銘柄では、ほかの大株主の比率が報告なしに下がっていくことがある点にも注意が必要です。

集計は当サイトが取り込んだEDINETの大量保有報告書・変更報告書・訂正報告書のうち、2025年9月1日から2026年9月10日までに開示された17,851件が対象です。1,669件は、保有株数と発行済株式数の両方が取得できた報告書のうち、保有株数÷発行済株式数と報告された保有割合の差が1ポイントを超えたものの件数です。発行済株式数の基準日の違いなど、潜在株式以外の理由による差も含みます。

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